2007年01月13日

バラの名前の物語 12

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第12回 WINCHESTER CATHEDRAL (ウインチェスター・カテドラル)


【天から光が降りそそぐような、けがれのない白い薔薇。】

1079年に創建されたウィンチェスター大聖堂。

アングロ・サクソン時代には、イングランドの首都だったという

由緒あるこの町のシンボルとして、

古くから人々の暮らしをずっと見つめてきました。

何世紀にもわたり増改築を重ねてきた白い建物は、

今も絶え間なく修復されています。

復旧の一助にと名づけられたこの薔薇は、

けがれのない白さで見る人の心まで洗ってくれるようです。

そう、天から降りそそぐ光のように。


posted by こぞ at 15:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月20日

バラの名前の物語 11

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第11回 WILLIAM SHAKESPEARE 2000 (ウィリアム・シェークスピア)


【そのバラは、シェークスピアの舞台のようなドラマチックな真紅。】

1564年、イギリスの中央部やや南、

ストラットフォード・アポン・エイボンで、

のちに世界を代表する劇作家が誕生しました。

彼の名前は、ウィリアム・シェークスピア。

その作品は、いまでも愛され続け、そのせりふは、誰もが知っています。

この偉大な作家の名前にふさわしいイングリッシュ・ローズの

最高傑作といわれています。

2000年にシェークスピアが「Man of the Millennium」に

選ばれたことを記念して命名されました。

ベルベットのような上質な真紅の花びらが、秘めたるドラマを予感させる。
posted by こぞ at 12:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月10日

バラの名前の物語 10

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第10回 MARY ROSE (メアリー・ローズ)

【幾時代もの時を経て、受け継がれていくもの。 】

イングランドの中央のやや南、

世界でいちばん美しい村とたたえられる コッツウォルズ。

その入り口にたたずむスードリー城は、

ヘンリー八世の最後の妻が晩年を過ごした場所として知られています。

チューダー形式のガーデンは、中世の面影をいまも鮮やかに伝えています。

このバラは、ヘンリー八世の旗艦メアリー・ローズ号が

400年のときを経てソーレント海峡から

引き上げられたことを記念して名づけられました。

イングリッシュ・ローズの親として、数多くの優れた特徴が、

いくつもの品種づくりに貢献しています。

伝統は、受け継がれてこそ、美しい。


posted by こぞ at 15:35| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月28日

バラの名前の物語 9

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第9回 MARY MAGDALENE (メアリー・マクダレン)

【美しさとやわらかさと、神秘的な香りに誘われて。】

1000年以上もアルブライトンの町を見守ってきた、

セント・メアリー・マグダレン教会。その名前にもなっている、

ダヴィンチ・コードにも登場するメアリー・マグダレンは、

キリストを誘惑した女性として歴史にその名をとどめています。

悪霊をキリストに追い払ってもらい、そのあとキリストの側近になった女性として

有名です。キリストの復活に立ち会ったともいわれています。

いくつもの神秘的なストーリーがよく似合うこのイングリッシュ・ローズは、

凛としたティーローズの香りを放ちます。

なぞの多いマクダラのマリアの香りに誘われて、

しばし悠久の歴史に思いをはせてみてください。
posted by こぞ at 18:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月14日

バラの名前の物語 8

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第8回 TESS OF THE D’URBERVILLES(テス・オブ・ザ・ダーバーヴィル)

【けなげで、かれんに、たくましく、うつくしく。】

イギリスを代表する田園詩人、トマス・ハーディ。

「ダーバーヴィル家のテス」は彼の代表作であり、

ナスターシャ・キンスキーが主役の映画を見たことがある人もいるでしょうね。

あの美しいイングランドのカントリーサイドは、

南部の町ドーチェスターで撮影された映像です。

ハーディは、この町に自ら設計した小さな家を建て、そこを永住の地としました。

ぬくもりのあるコテージハウス、丹精につくられガーデン。

美しい土地によく似合う、美しい物語。

この小説は、この風土がつくりだした傑作かもしれません。

テスの名を持つ可憐なこのイングリッシュ・ローズは、

エレガントでありながら、強くたくましく育ちます。

この物語の主人公のように。
posted by こぞ at 18:06| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月29日

バラの名前の物語 7

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第7回 GRAHAM THOMAS(グラハム・トーマス)

【オールドローズの巨匠グラハム・トーマスに捧ぐ。】

オールドローズの研究で知られる世界的な薔薇の大家、グラハム・トーマス氏。

彼の偉大な研究があったからこそ、イングリッシュ・ローズは

この世に生まれることができたといっても過言ではありません。

デビッド・オースチンは、尊敬の念をこめて、

そう語ります。そんなグラハム・トーマス氏の素晴らしい

オールド・ローズ・コレクションを見ることができるのが、

イギリスを代表するモティスフォント・アビー・ガーデン。

中でもひときわ目を引くのは、太陽の光をいっぱいに浴びて、

純粋な黄色を持つこの薔薇の美しい輝き。フレッシュなティーローズの香りで、

このガーデンに訪れる人をさわやかに包み込んでいます。
posted by こぞ at 20:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月16日

バラの名前の物語 6

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第6回 PAT AUSTIN(パット・オースチン)

【イングリッシュローズに、まったく新しい色を刻みました。】

1969年は、イングリッシュ・ローズが産声を上げた記念すべき年です。

以来、デビッド・オースチンは37年にわたって100種類以上もの

品種を作り上げてきました。

そのすべてがもちろん偶然にでき上がったものではありません。

数え切れないほどの失敗と試行錯誤の連続の中で、

あるとき天使がやさしくほほえみかけてくれるのです。

その悲しみと喜びをいちばん身近でともに分かち合ってきたのは、

デビッド・オースチンのよき妻であり最大の理解者である、

パット・オースチンでした。彫刻家でもある彼女の名前を冠したこのバラは、

イングリッシュ・ローズに初めて黄金色をもたらしました。

大輪のディープカップ咲きで香りがよく、花弁のコントラストが見事です。

この独特な色合いをイギリスでは銅色とも表現されています。
posted by こぞ at 19:42| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月28日

バラの名前の物語 5

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第5回 ABRAHAM DARBY(アブラハム・ダービー)

【強さと、優しさと。偉大な先駆者の情熱が宿っています。】

世界遺産としても有名な世界最古の鉄橋、アイアンブリッジ。

ロンドンから西へクルマで走ること3時間。

山あいの渓谷の美しい村に、その姿を川面に映し出しています。

ここは、イギリス産業革命発祥の地としても広く知られています。

その立役者の一人、アブラハム・ダービーは鉄の大量生産を

可能にした技術を使って、この見事な鉄橋をつくりあげました。

彼にちなんで名づけられたこのバラは、まさに鉄のように強健です。

大輪の花を咲かせますが、驚くほどきれいに反復開花します。

濃厚なフルーツの香りに、すがすがしさを感じさせてくれます。

偉大な先駆者の情熱が、今なおこのバラに宿っているのかもしれません。
posted by こぞ at 17:07| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

バラの名前の物語 4

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第4回 THE GENEROUS GARDENER(ジェネラス・ガーデナー)

【美しい庭を、美しい薔薇を、ひとりでも多くの人に。】

イギリスのガーデンは、そこを訪れる人をすべてやさしく

迎え入れてくれます。

ひとりでも多くの人に美しい庭にふれていただきたいと願う、

ナショナル・ガーデンスキームに共鳴するたくさんの愛好家によって、

イギリスのガーデンは成り立っているといってもいいでしょう。

その広がりを知るには、一冊のイエローブックがあれば充分です。

その圧倒的な数ばかりではなく、

どの庭もお客様を受け入れるための手入れが行き届いていることでも

目を見張るものがあります。

このイングリッシュ・ローズは、そんなナショナル・ガーデン・

スキームの75周年を記念して命名されました。

美しい庭をひとりでも多くの人に開放したい。

その願いは、いま、海を超えて静かに着実に広がりつつあります。
posted by こぞ at 19:46| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月16日

バラの名前の物語 3

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第3回 GERTRUDE JEKYLL(ガートルード・ジェキル)

【この庭は、あなたの庭へと続いています。】

19世紀後半、史上初めての女性ガーデンデザイナーとして活躍した

ガートルード・ジェキル。

ロンドンからやや南、マンステッドウッドには、彼女が晩年を

すごした家とガーデンが当時のまま残されています。

この家は、彼女が一目置いていた年若い建築家とのコラボレーションから

生まれました。

この二人は、イギリスを代表する数多くの家と庭を作り上げています。

ジェキルの家は、その総仕上げともいえる作品だったのかもしれません。

庭をキャンバスに見立て、植物という絵の具で美しい色彩をちりばた

その手法は、ボーダーガーデンとして、今日までガーデニングの

基礎を成しています。

彼女の名にふさわしいこのバラは強香で、バラエッセンスとしても

使われるほどです。

濃いピンク色のクォーターロゼット咲き、強い香り。

イングリッシュローズの中でも、ひときわ人気があります。
posted by こぞ at 19:24| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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